乳がんで乳房を切除した患者のため、九州大や大阪大などは本人の幹細胞を使って乳房を再生させる治験に乗り出す方針を決めた。2011年春に複数の国立大や医療機関などによる研究組織を設立し、12年3月までに治験を開始する計画。より自然な乳房を回復する取り組みで、健康保険が適用される医療として定着を目指す考えだ。 幹細胞を使う乳房再建は、これまで九州大と九州中央病院(福岡市)で臨床研究を行ったほか、横浜市の民間クリニックなど一部で実施されているが、治験としては初めてとなる。 現在は、シリコーンや本人の脂肪の移植が主流。しかしシリコーンには感染症の危険性、脂肪は体内に吸収され効果が持続しないなどの欠点がある。また健康保険も適用されない。 一方、幹細胞は体を作る大もとの細胞で、特定の細胞に変化したり自分をコピーしたりできる。九州大などの再建法は、本人の腹部から200〜400ミリ・リットル前後の脂肪を採取