三菱重工業は8日、長崎造船所(長崎市)で進む2隻の大型客船の建造が難航しているため、累計1336億円の損失を計上したと発表した。設計の不具合や造り直しが相次いで損失がふくらみ、2隻で約1千億円とみられる受注額を上回る規模になった。 8日発表した2015年3月期決算で、これまでの損失額1039億円に加え、297億円の特別損失を計上した。純利益は前年比31・2%減の1104億円となった。 大型客船は、世界最大のクルーズ会社カーニバル社の子会社から11年11月に受注。長さ約300メートル、約3300人乗りで、三菱重工が11年ぶりに受注した客船だった。だが設計が難航し、大幅な造り直しも必要になったことで多くの人員を投入せざるを得なくなった。1隻目は予定より半年遅れて今年9月、2隻目は16年春に引き渡しを迎える予定だ。(南日慶子)