日本の大学進学率はいまや6割近くに達し、一段の公的支援まで取り沙汰される。こうした大学全入の流れに、ジンジブの佐々木満秀社長(56)は「日本の活力を奪う」と疑問を投げかける。高卒で働いて起業した経験が、現在手がける高校生の就職支援の原点にあるという。私が高校を卒業した頃に比べると、大学進学率は約2倍に伸びている。だが明確な目的を持って大学に行く人がどれだけいるだろうか。「何となく」がほとんどで
この調査に加えて推進研究では、新居田久美子氏(神戸学院大学)がいくつかの大学の事例調査も行った。その結果では、キャリア支援図書の配架の予算・選書の方法は多彩であること、近年の18歳人口減少に伴う学生人口減少や青年期の読書離れなどの課題に対して、大学生の読書推進のための活動や、図書館活性化を図る自発的な学生組織、あるいはラーニングサポーターなど学生や院生の参加を促す多様な活動が各大学でみられたこと、貸出型から滞在型へと大学図書館の機能変化がみられることなどが報告された。 3. 諸外国の事例 諸外国の大学図書館の国際的事例について、筆者は『世界の大学図書館―知の宝庫を訪ねて』(3)を2024年7月に刊行した。同書では、国際ランキングで比較的上位の11大学を選び、世界の大学図書館ネットワーク、情報や研究のスキル、ウェルビーイング、オープン・サイエンス、専門司書、変容的学習、デジタルシフト、総合的
男性が生前使っていた手帳をめくる長男(右上)ら家族。男性の死後に子供を出産した長女は「孫の顔を見せることができず、心残りだ」と話す=愛知県内で2024年11月17日午後4時31分、土田暁彦撮影 岐阜大の研究員として働き、大手航空測量会社の顧問を掛け持ちしていたダブルワークの男性(当時60歳)が、3年半前に自殺して労災と認められていたことが関係者への取材で明らかになった。大学で上司の厳しい指導を受け、会社で孤立していたとされる。労働基準監督署は両職場での就労状況を総合的に考慮した結果、強い精神的負荷が生じていたと判断した。 労災認定を巡っては、2020年9月施行の改正労災保険法で、複数の職場で受けたストレスを総合的に検討し、労災対象になるかを判断する新制度が導入された。労働力不足などを背景に副業が推進される中、新制度に基づく認定が明らかになるのは珍しい。 遺族や代理人弁護士によると、男性は橋
羽衣国際大(堺市)の専任講師だった女性が違法な雇い止めをされたとして、教員としての地位の確認を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は31日、女性側勝訴とした2審判決を破棄し、審理を大阪高裁に差し戻した。 2013年4月施行の改正労働契約法は、いつまで働くか期限が付けられた雇用の通算契約期間が5年を超えると、期限がない雇用への転換を求めることができる「無期転換ルール」を定めた。 一方、大学教員は研究活動に長い時間を費やすケースも多く、14年4月施行の改正大学教員任期法は「多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織の職」については、無期転換ルールが適用されるまで10年を要するという特例を設けた。 1、2審判決によると、原告の女性は介護福祉士の資格を持ち、13年から専任講師として介護福祉士の養成科目を担当。5年が経過したため、18年に無期転換ルールの適用を大学側に求めたが
大学教員やポスドク(任期付き研究員)ら研究者の間で、雇い止めや雇用と雇用の間に6カ月以上の空白期間を設ければ通算の契約年数がリセットされる「クーリング」が横行している。研究者の有期雇用が通算で10年に達した時点で生じる無期転換権を行使させない行為だ。研究現場の労働環境を巡り日本神経科学学会などが実施したアンケート結果(=要約、図表あり)を基に、労働契約法に詳しい沼田雅之・法政大教授に法の解釈や見解を聞いた。【聞き手・垂水友里香】 アンケートの要約 日本神経科学学会将来計画委員会などが理系の研究者2465人にアンケート調査したところ、およそ8人に1人が長期間研究したのに大学や研究機関から雇い止めされる状態にありました。クーリングを強いられた研究者が周囲にいたと証言する人も約23%に上り、自身が該当する人は約3%でした。 ◇ --雇い止めやクーリングは法的にどのような問題があるでしょうか。 ◆
【読売新聞】 「国立大学の教員職がカネで買える」。琉球大学の非常勤講師職を巡る仲介疑惑で、講師候補者の1人はコンサルティング会社役員からそう言われて多額の金銭を支払い、50歳代教授から「講師発令の手続きに入る」と伝えられていた。読売
「過重労働と不安定な雇用形態がはびこっている」と訴える慶応大湘南藤沢キャンパスの元准教授=東京都内で2024年8月15日、宇多川はるか撮影 大学などで働く研究者の非正規率は極めて高い。待遇の悪化は研究力の低下をもたらす。国に翻弄(ほんろう)されてきた博士人材の働き方など研究環境の問題に迫る。 この連載は全4回。毎週水曜朝に公開します。 第1回 国にほんろうされる元高齢ポスドク 第2回 出産と就活が重なり、育休も取れない研究者 第3回 「300時間残業」も突然クビ 第4回 海外から見た日本の環境 午前0時をまたぐオンライン会議。昼夜問わずに届く200~300件のメールやチャット。深夜でも授業のための資料作りは終わらない。 過重労働による緊張状態から眠れなくなり、人生で初めて睡眠薬を服用した。そんな過酷な日々を3年間乗り越えて待っていたのは雇い止めをされた現実だった。 「任期付き教員、利用され
北海道大理学研究院の化学部門で、複数の准教授が「教授会によって組織的に孤立させられている」と訴えていることが発覚し、化学部門に所属する教員の間で教授会や組織のあり方に対する不満や懸念が広がっていることが、毎日新聞が入手した教員アンケートの結果で判明した。 化学部門では、教授が定年退職や異動で不在となった研究室の准教授や助教らを「旧スタッフ」「旧研究室スタッフ」などと呼んで区別し、研究室の業務から外したり、学生を配属しなかったりしている。 准教授ら「パワハラ」訴え 部門の教授会に当たる「講座委員会」が2020年度にこうした内部基準を作成。旧スタッフとされた複数の教員が連名で「不当に業務をさせず、教育・研究活動を阻害するパワハラに該当する」などと訴える陳情書を、大学のハラスメント相談室を通じて理学研究院に提出する事態になっている。 毎日新聞が5月、この問題を報じたことを受け、化学部門は所属する
男性助教が1人で研究する部屋。暖房はなく、私費でヒーターを置いた。段ボール箱には、かつて指導した学生が作製した実験試料が保管されている=札幌市北区で2024年3月、鳥井真平撮影 頭に浮かんだのは、いてつく冬のオホーツク海だった。 北海道大理学研究院の40代の男性助教は2022年4月から、化学部門の建物の一室でたった1人、研究を続けている。 部屋の広さは36平方メートル。実験するには十分だが、備えつけの暖房がない。外気が直接入りこむ通気口があり、冬は氷点下の冷気が押し寄せる。 大学が教員一般に支給する経費が男性には支払われていない。電源延長コード、インターネット用の機材、実験試薬を運ぶ台車、実験ノート……。全て私費で買いそろえた。3台のオイルヒーターも自腹だ。 部屋「期限」に追い詰められ 男性は無期雇用の教員だ。本来なら任期を気にせず研究を続けられる身分。ところが21年8月、部屋の使用を「2
新たな大学院を作るため、職を辞すなどして集まった研究者らが、突然の計画打ち切りで解雇され、大学を訴える事態になっている。関係者の証言から浮かぶのは、十分な話し合いなく打ち切った大学側の独断ぶりと、雇用契約のあいまいさだ。「大学が教員や研究者を使い捨てにしていいのか」。原告たちは訴える。 訴えられたのは、和洋女子大を運営する学校法人和洋学園(千葉県市川市)。2019年秋、同学園の長坂健二郎理事長が、聖路加国際大大学院の特任教授だった宮坂勝之氏に、先進的な看護大学院の設置を依頼したのが発端だ。 プロジェクトは大学創立125周年を迎える22年度の開講を目標に計画された。現役看護師が医療行為の基本や医療保健の仕組み、医療経済などを医療者と共に学べる、これまでにない看護大学院を構想に掲げた。医師と看護師の連携を緊密化し、「チーム医療」の充実を目指した。 職辞して専念したのに… 20年4月、大学と宮坂
北海道大の化学部門で、複数の教員が教授会による「追い出し行為」の被害を訴えている。その背景に、同部門が採用する「講座制」があると専門家はみる。 関連記事は、以下のリンクからお読みいただけます。 <前編>「まさか追い出し部屋に」北海道大准教授 <後編>北海道大の教授会が「内部基準」作成 <解説>北海道大の「旧スタッフ」冷遇、背景にある旧弊と財政難 ※記事へのご意見、情報を情報提供フォーム「つながる毎日新聞」にお寄せください。 日本の大学の講座制は明治時代に始まる。教授の専門分野の下、組織的に研究・教育を進めることが主な目的だった。 しかし、人事や予算などの権限が教授に集中し、硬直的で閉鎖的な運用を招いている、と指摘されるようになる。自由な発想の研究を妨げ、若手研究者が育ちにくい土壌になるとも批判された。広島大の北仲千里准教授によると、教員間のハラスメントは「教授独裁型」の権力構造に起因するこ
「旧スタッフ」の40代准教授の実験室。一緒に実験に取り組む同僚や学生は一人もいない=札幌市北区で鳥井真平撮影 「問題を把握しておきながら、見殺しにするんですか」。今年1月、40代の男性准教授は教授陣との面談の席で声を詰まらせた。 北海道大の関係者によると、教授が不在になった後に残った准教授や助教は、化学部門に在籍していても「旧スタッフ」「旧研究室スタッフ」と呼ばれるようになる。毎日新聞の調べでは、2021年度以降、少なくとも9人が旧スタッフとして扱われ、今年4月時点で4人が該当しているとみられる。 男性もその一人だ。23年度に続き24年度も学生の配属がなく、1人で研究を続けることが決まった。 関連記事は、以下のリンクからお読みいただけます。 <前編>「まさか追い出し部屋に」北海道大准教授 <後編>北海道大の教授会が「内部基準」作成 <解説>北海道大の「旧スタッフ」冷遇、背景にある旧弊と財政
校舎建て替えに当たり個人研究室を廃止し、フリーアドレスの「共同研究室」を設けた大学で、教授らが大学を運営する学校法人を訴える裁判が起こった。原告側は「研究・執務に専念できない」と反発の声を上げた。 日本で初めて、教員や事務職員の執務室をフリーアドレス化した大学校舎を巡り、教授らが大学を運営する学校法人を訴えた。講義に向かうたびに机の上を片付けなければならず、独自の研究や試験の問題作成なども行えないという。原告側は、大学教員には「研究室利用権」があり、被告はそうした環境整備を行う義務を負う、と主張した 今回取り上げる事件は、研究室のフリーアドレス化を巡る裁判だ。トラブルが起こったのは山口県下関市にキャンパスを置く私立大学だ。 問題の「共同研究室」は、校舎老朽化に伴って建て替えられた新校舎に配置されたものだ。大学は著名建築家が代表を務める設計事務所(訴外)と設計契約を締結。また校舎新設に関する
入試問題を漏洩(ろうえい)したとして東京学芸大(東京都小金井市)に懲戒解雇された元准教授の男性が、同大に対して地位確認などを求めた訴訟の判決が21日、東京地裁立川支部であった。中村恭裁判長は「(懲戒…
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