私は浦添総合病院着任後から在宅診療(往診)を実施し、自宅での看取(みと)りも行ってきた。 がんや人工呼吸器使用など慢性の呼吸器疾患を中心に長期間診ている患者さんが多く病院退職のころには看取りの半数近くは自宅で行った。亡くなる数日前に退院した人もいる。挿管・気管切開・人工呼吸で数回入院した患者さんで呼吸器を外し家族が蘇生用のバッグを押しつつ退院し、自宅でもバッグ呼吸をしながら亡くなられた例もある。 在宅医療を始めるに際しては、まず在宅が適切と思われる患者や家族に在宅でできる治療や介護の内容を説明し、不安を取り除く努力をして在宅診療を希望するか確認した。本人は内心希望しても家族の状況を知って言い出せないこともある。家族の協力なくして成り立たないが可能な限り本人の意向を尊重するように努めた。家族の希望で本人に診断を知らせず治療を強いられたときは私自身悩んだ。 訪問診療は当初医師中心でほそぼそと実
