新藤兼人監督の場合 どんな家族も、大切な人を見送る時には、悩み苦しむ。一秒でも長く生きてもらいたいが、治療で苦しむ姿を見るのも辛い。簡単には答えは出ない問題。だからこそ、家族を見送った人たちの言葉から、改めて、家族の、そしてあなたの幸せな結末を考えてみて欲しい。 「亡くなる直前まで仕事を続け、自宅で孫娘に見守られながら、スーッと息を引き取った。息子である私も憧れるくらい、パーフェクトな最期だったと思います」 日本を代表する映画監督・新藤兼人氏の次男で、近代映画協会社長の新藤次郎氏はこう語る。 新藤監督は、'12年5月29日、先立った妻で女優の乙羽信子さんと共に暮らした都内のマンションで、静かに亡くなった。 そのひと月前の4月22日には、柄本明や大竹しのぶといった縁の深かった俳優や映画関係者を集めた、100歳の誕生パーティを行ったばかりだった。次郎氏が続ける。 「父は94歳のとき、映画の撮影