先日、衛星第1の海外ニュース番組で、アメリカにおけるブログの現状が紹介されていた。アメリカでのブログの認知度は33%。読んだことがある人は3200万人(10%強)で前年比60%増というから、猛スピードで浸透しているようだ。
さまざまなテーマについて思うままに表現している点では、アメリカも日本と変わらない。とりわけ注目されているのは政治ブログである。04大統領選の民主党予備選では、ブロガーたちがネット上で、ディーン候補の選挙運動を展開した。州議会では、女性ブロガーが法案提出を阻んだケースがある。トラックバックを繰り返すことで支持の輪を拡大した。数百通の反対メールがHPに届いたことで、当該議員は提出を断念する。
CBSの名物キャスター、ダン・ラザー氏の引退は日本でも話題になった。ブッシュ大統領の軍歴を巡り、偽の資料を用いて報道した件の責任を取ったのだ。最初に誤りを指摘したのはブロガーである。小さな波紋が、ブログ間の交流でうねりとなり、巨大メディアを呑み込んだ。
番組では、NYタイムズのHPと個人のブログを2台のパソコンに表示し、「違いがわかりますか」と視聴者に問い掛けていた。表紙は似ていても、情報の信憑性やデータ量において、両者に大きな差がある。だが、ブロガーがチームを作れば、大きな影響力を行使することも可能なのである。
gooのブロガーは15万人を超え、ライブドアは20万人前後である。ブログ増加によるインターネット帯域幅の侵食という問題はあるが、日本にも100万ブロガー時代が来るかもしれない。
さて、ブロガーの端くれとして暴論を。新聞はもはや必要ない……。
政治や経済の動向は、各HPやニュース番組でキャッチ出来る。活字メディアは中立性に縛られているから、論説は刺激的ではない。ブックマークに登録した左右180度のブログに目を通して多角的に考察すると、本質が見えてくることもある。日本の新聞に掲載されない発展途上国や紛争地域の実情、入管問題等についても、反グローバリズム活動家、NGO関連、人権派、報道写真家のブログを読めば、詳細まで知ることが出来る。
スポーツ、映画、音楽、文学など趣味の分野でも、深い考察に満ちたブログを幾つも発見した。分析力、情報収集力で既成のジャーナリズムを超えているブログも少なくない。堀江氏は今回の騒動で、インターネットの他メディアへの優位性を繰り返し説いているが、温室で満足している「プロ」たちが努力を怠れば、遠からず「アマ」に淘汰されてしまうだろう。
もちろん、ブログ側にも克服すべき課題がある。ブロガーに敗れた上記の州議会議員は、送られたメールは礼を失したもの、法案の理解を甚だしく欠いたものが大半だったとコメントしていた。ブログに限らず匿名性のツールでは、内容が伝言ゲーム化して捻じ曲がり、集団化した同調者が攻撃性をむき出しにするという危険性を秘めている。ブログの中身に事実誤認、他者を傷つける表現が含まれていても、「所詮は日記」という逃げ道が用意されているのだ。
「責任」と「節度」……。読者の少ないインディーズブログではあるが、この二つの言葉に留意して綴っていきたいと思う。