経済成長をどうしたら達成できるかは、経済学でも結論の出ていない問題である。したがって、社会保障で成長させられるかどうかも、答えの出せないものなのだが、今日の経済教室では、学習院大の鈴木亘先生が、これに果敢に挑んでおられた。
成長を高めるには、労働の供給力の拡大と設備投資の向上が必要である。前者については、乳幼児保育への社会保障給付、「130万円の壁」撤廃のための130~300万円の低所得者層への社会保険料軽減を行えば、女性を中心とした労働供給力は確実に強化されるわけだから、社会保障で成長は正しいはずである。
しかも、これらの措置によって少子化が緩和すれば、労働力人口の増加で成長は加速することにもなるから、二重に効果があると言える。鈴木先生は、紙幅の都合か、こういった社会保障に言及していないが、社会保障と成長の関係では、これを外すことはできないだろう。(具体案については、本コラムの「小論」と「基本内容」を参照)
次に、設備投資の向上であるが、安定的な需要の確保が設備投資の向上に資することにはコンセンサスがある。そうであれば、不況期に社会保障給付を拡大し、好況期に負担増を行うということで、「社会保障で成長させる」としても差し支えないのではないか。フィスカルポリシーの対象として、公共事業と社会保障のどちらを選ぶかという違いでしかない。
社会保障の充実で貯蓄が増減するかどうかについては、私は、鈴木先生以上に否定的である。貯蓄は投資の影であり、設備投資が高まれば、その結果として貯蓄は高まるものだからだ。貯蓄量をコントロールすることで設備投資を促すという「逆向きの政策」には無理があると考えている。
最後に「所得再分配」であるが、鈴木先生が指摘するように最下層での消費性向が低下しているとしても、所得が低い階層の消費性向が高いことに違いはないので、消費拡大効果を否定的なものとするのは、やや筆が滑った感がある。
いずれにせよ、不況期に需要を増加させるのであれば、好況期に需要を削減する政策も用意しておく必要がある。成長率や物価上昇率がどの程度になれば増税をするかを明らかにしておかなければならない。それは、社会保障でマクロ経済政策を行う場合に限られる問題ではない。
(今日の日経)
韓は印とEPA、トヨタはライン減。社説・人材立国・アニメは自動車ショーに匹敵、日本デザインに創造性。10年代半ば経常赤字に?。中国、農産物に投機資金。米オセアニアアジア広域自由貿易圏。NTNインホイールモーター世界初の量産。ベトナム人留学生に照準。ブラジル特集、経済教室・社会保障で成長は誤り・鈴木亘。
成長を高めるには、労働の供給力の拡大と設備投資の向上が必要である。前者については、乳幼児保育への社会保障給付、「130万円の壁」撤廃のための130~300万円の低所得者層への社会保険料軽減を行えば、女性を中心とした労働供給力は確実に強化されるわけだから、社会保障で成長は正しいはずである。
しかも、これらの措置によって少子化が緩和すれば、労働力人口の増加で成長は加速することにもなるから、二重に効果があると言える。鈴木先生は、紙幅の都合か、こういった社会保障に言及していないが、社会保障と成長の関係では、これを外すことはできないだろう。(具体案については、本コラムの「小論」と「基本内容」を参照)
次に、設備投資の向上であるが、安定的な需要の確保が設備投資の向上に資することにはコンセンサスがある。そうであれば、不況期に社会保障給付を拡大し、好況期に負担増を行うということで、「社会保障で成長させる」としても差し支えないのではないか。フィスカルポリシーの対象として、公共事業と社会保障のどちらを選ぶかという違いでしかない。
社会保障の充実で貯蓄が増減するかどうかについては、私は、鈴木先生以上に否定的である。貯蓄は投資の影であり、設備投資が高まれば、その結果として貯蓄は高まるものだからだ。貯蓄量をコントロールすることで設備投資を促すという「逆向きの政策」には無理があると考えている。
最後に「所得再分配」であるが、鈴木先生が指摘するように最下層での消費性向が低下しているとしても、所得が低い階層の消費性向が高いことに違いはないので、消費拡大効果を否定的なものとするのは、やや筆が滑った感がある。
いずれにせよ、不況期に需要を増加させるのであれば、好況期に需要を削減する政策も用意しておく必要がある。成長率や物価上昇率がどの程度になれば増税をするかを明らかにしておかなければならない。それは、社会保障でマクロ経済政策を行う場合に限られる問題ではない。
(今日の日経)
韓は印とEPA、トヨタはライン減。社説・人材立国・アニメは自動車ショーに匹敵、日本デザインに創造性。10年代半ば経常赤字に?。中国、農産物に投機資金。米オセアニアアジア広域自由貿易圏。NTNインホイールモーター世界初の量産。ベトナム人留学生に照準。ブラジル特集、経済教室・社会保障で成長は誤り・鈴木亘。
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