週末に9月の経済指標が公表されたが、7-9月期はマイナス成長が免れないようだ。振り返れば、7月のコロナ感染の激増とオリンピック開催、8月後半の感染反転、9月の急減と緊急事態宣言の解除と、激動だった。加えて、原油高・円安、半導体不足による自動車生産の減少と感染以外の変動も大きかった。足下の10月に、かなり戻りつつあるものの、7-9月期でくくれば、マイナスに沈んだ形である。
………
9月の商業動態・小売業は、前月比+2.7と高めの伸びだったが、前月が-4.1にもなっていたので、落ち込みを取り返すにも足りない。7-9月期の前期比は+1.1となったものの、消費者物価指数・財が前期比+0.9にもなっているので、実質では、かなり不調だった4-6月期とほぼ同じレベルにとどまる。こうした結果を踏まえると、7-9月期の消費は、前期比-0.5%程のマイナス成長になると思われる。
感染の拡大で、サービス消費が低迷するのは仕方ないにせよ、この半年、小売業で増えているのは、物価高の飲食料品と燃料であり、それ以前に好調だった自動車や機械器具も衰えている。常用雇用の増加が止まり、実質賃金が下がっているので、当然とも言えるが、昨年の10万円給付という再分配による押し上げが剥落し、追加策をした欧米とは異なる、その後の「無策」が表れたと見ることもできよう。
9月の鉱工業生産は、前月比-5.1と3か月連続の低下となった。7-9月期も前期比で-3.6と5四半期ぶりの低下である。その最大の要因は自動車の生産制約だ。耐久消費財で見ると、7-9月期は-17.8にもなるが、10,11月は+18.5と取り戻す予定である。悪いのは、非耐久消費財も同様であり、続く10,11月の予測まで-2.9となっている。生産制約のみならず、普通に景気が悪いのである。
そうした中、設備投資の動向を示す資本財(除く輸送機械)は、7-9期が前期比-0.9となったものの、10,11月は+6.1になる予測である。7-9月期の設備投資は、-1.2%程のマイナスになるけれども、先行きは明るい。建設投資に関しても、建設財は、7-9月期が-1.0となったものの、10,11月は+3.3と伸びる見通しである。問題は、民間住宅は堅調でも、経済対策が息切れしており、公共事業が7-9月期はマイナスになりそうだ。
雇用については、9月の就業者は、前月比-28万人と、前月の-32万人に続いての減となっており、いまだ不調にある。他方、9月の新規求人倍率は、+0.13の2.01倍と4か月ぶりにプラスに変わり、緊急事態解除後に向けての明るい兆しがうかがえる。10月の消費者態度は、9月と同様に上昇した。特に、雇用環境は+4.9の高い伸びで、水準はようやく40台であるものの、コロナ禍では最も高くなっている。
(図)
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初回の「キシノミクス」であったが、残念なながら、マイナス成長の景気の悪い話になってしまった。それでも、非常事態宣言が終わって以降、足下の10月は急速に回復しているようであり、展望は開けている。ただし、経済対策が剥落する状況で、政策的には成り行き任せになっており、これから、どのような形で需要を調節し、成長軌道に乗せていくかが問われるところである。
(今日までの日経)
新車不足、遅れる納期。日本経済、反発力乏しく 7~9月、マイナス成長予測。SNS、政策動かす 「女性・子育て」増。米GDP、2.0%増に減速 7~9月、コロナ再拡大響く。大株主情報 350万社に要請。
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9月の商業動態・小売業は、前月比+2.7と高めの伸びだったが、前月が-4.1にもなっていたので、落ち込みを取り返すにも足りない。7-9月期の前期比は+1.1となったものの、消費者物価指数・財が前期比+0.9にもなっているので、実質では、かなり不調だった4-6月期とほぼ同じレベルにとどまる。こうした結果を踏まえると、7-9月期の消費は、前期比-0.5%程のマイナス成長になると思われる。
感染の拡大で、サービス消費が低迷するのは仕方ないにせよ、この半年、小売業で増えているのは、物価高の飲食料品と燃料であり、それ以前に好調だった自動車や機械器具も衰えている。常用雇用の増加が止まり、実質賃金が下がっているので、当然とも言えるが、昨年の10万円給付という再分配による押し上げが剥落し、追加策をした欧米とは異なる、その後の「無策」が表れたと見ることもできよう。
9月の鉱工業生産は、前月比-5.1と3か月連続の低下となった。7-9月期も前期比で-3.6と5四半期ぶりの低下である。その最大の要因は自動車の生産制約だ。耐久消費財で見ると、7-9月期は-17.8にもなるが、10,11月は+18.5と取り戻す予定である。悪いのは、非耐久消費財も同様であり、続く10,11月の予測まで-2.9となっている。生産制約のみならず、普通に景気が悪いのである。
そうした中、設備投資の動向を示す資本財(除く輸送機械)は、7-9期が前期比-0.9となったものの、10,11月は+6.1になる予測である。7-9月期の設備投資は、-1.2%程のマイナスになるけれども、先行きは明るい。建設投資に関しても、建設財は、7-9月期が-1.0となったものの、10,11月は+3.3と伸びる見通しである。問題は、民間住宅は堅調でも、経済対策が息切れしており、公共事業が7-9月期はマイナスになりそうだ。
雇用については、9月の就業者は、前月比-28万人と、前月の-32万人に続いての減となっており、いまだ不調にある。他方、9月の新規求人倍率は、+0.13の2.01倍と4か月ぶりにプラスに変わり、緊急事態解除後に向けての明るい兆しがうかがえる。10月の消費者態度は、9月と同様に上昇した。特に、雇用環境は+4.9の高い伸びで、水準はようやく40台であるものの、コロナ禍では最も高くなっている。
(図)
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初回の「キシノミクス」であったが、残念なながら、マイナス成長の景気の悪い話になってしまった。それでも、非常事態宣言が終わって以降、足下の10月は急速に回復しているようであり、展望は開けている。ただし、経済対策が剥落する状況で、政策的には成り行き任せになっており、これから、どのような形で需要を調節し、成長軌道に乗せていくかが問われるところである。
(今日までの日経)
新車不足、遅れる納期。日本経済、反発力乏しく 7~9月、マイナス成長予測。SNS、政策動かす 「女性・子育て」増。米GDP、2.0%増に減速 7~9月、コロナ再拡大響く。大株主情報 350万社に要請。