経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

政党に求めるべき年金改革の答

2012年02月20日 | 社会保障
 現行の年金制度の大きな課題は二つある。一つは、昨日、書いた、基礎年金の国庫負担分3.3万円を下回るような低年金の受給者の底上げ。もう一つは、今日の日経にもある、パートの主婦や非正規労働者への社会保険の適用拡大である。国民には、抜本改革の絵空事ではなく、この二つに対して、きちんとした答を持っている政党を選んでほしいものだ。

 この二つの問題に対する基本的な答は、国庫負担分3.3万円は、ほぼ無条件に受給権を認めたうえで、これに払った保険料に応じた給付を上乗せしてやるというものである。具体的には、パートの場合、ほぼ全員を厚生年金に加入させるものの、低い保険料率を設定してやり、その代わりに、得られる年金も少ないものにすることになろう。

 例えば、夫のいない女性の場合、現行の厚生年金の保険料率の1/4の約4%とすると、年収120万円なら負担は、月に4千円となる。これを労使で折半する。この程度なら、企業も受け入れの余地はあるのではないか。受け取る年金額は、国庫負担分3.3万円+保険料分9千円ということになろう。これは、国民年金に加入し、保険料の3/4減免を受けた場合と、負担も給付もほぼ同じである。ここから始めて、経済状況に合わせて、徐々に保険料を上げていけば良い。

 他方、夫のいる女性の場合、夫が妻の基礎年金の相当部分6.6万円までの保険料を負担していると「見なし」、妻がパートで払った保険料分は、それに上乗せする形で報いる。つまり、プラス9千円で7.5万円の給付になる。「見なし」は、いわば、夫が妻の国民年金の保険料を肩代わりし、自分の年金の取り分を減らすようなものだ。これで、専業主婦が特権を持っているとは思われなくなるだろう。

 こうした「芸当」ができるのは、基礎年金の1/2国庫負担の実現と保険料の引上げによって、国民年金の負担と給付の対応関係が保険数理に近づいたことがある。かつてとは異なり、必ずしも国民年金が割りの良いものではなくなり、払った分が還ってくるだけのものへと変化してきている。その意味で、所得把握の必要性の問題も変化してきている。

 他方で、国民年金の保険料を引き上げたことは、非正規などの低所得層には重くなり過ぎて、減免制度を充実させざるを得なくなった。厚生年金も適用を拡大するなら、同様の問題を抱えることになるわけで、軽減保険料率を考えざるを得ないのである。国民年金と厚生年金を統合することは簡単ではないが、保険数理を基準として、制度を近づけることは可能だし、必要なことであると考える。

(今日の日経)
 秋入学、変革のうねり。消費増税への反対49%。NTT東が光回線値下げ。パートの主婦170万人保険料。核心・民自で新結合・芹沢洋一。株価、世界で同時高、緩和マネー流入。秋入学インビュー・中嶋嶺雄。オフィスビルのエネ消費0へ。経済教室・経済発展の仕組み・岩本康志。勉強しない学力中位層。

※中嶋先生が言うように、日本の大学の欠点は多様性がないこと。均一性は、政策がはまれば、効果は大きいが、失敗も高くつく。在学が長引く学生の負担の大きさも考えてやるべき。中嶋先生の言うような先にしなければならないことも多いし、滋賀大の佐和先生の提案する3月入学や、大学院の秋入学、学部の繰上げ秋卒業、高校3年秋での飛び入学など、多様な実験もすべきだろう。そんなチャレンジを許さないのが日本的ではあるが。

※身を切れという人は、いくら切っても納得しない。反対が増えたのは、デフレが悪化したせいではないのかね。増税を目指し、もっと切って、デフレを進めるがいいさ。※競争は値下げを呼ぶ。東電と電電は違うな。※意外にも大連立の支持が今でも高い。

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