東京オルタナティブ・シーンの新星 FAR FRANCE
混迷する東京のインディ—・シ—ンの中で、若さとスピ—ド感、そして初期衝動を武器に台頭してきたFAR FRANCE。これまではライブの持つ勢いや、衝動を見事に昇華して東京インディ—という名のジャングルを力ずくで切り開き自らの道を開拓してきた。
前回のワンマン・ライブから約1年、数多くのライブをこなし大御所ア—ティストとの共演を果たした彼らが、新たに作り上げる音楽にはどんな化学反応が起きているのか? そんな期待の中、発売となった『AHYARANKE』はもはや衝動だけで突き進むことのない静けさを持ったアルバムだ。右下のア—ティスト写真の様に、自分達の中にある色とりどりの要素をぶちまけては吸収し、繰り返し成長し続けている。3ヶ月にもまたがるリリ—ス・ツア—を目前に控えた彼らにインタビュ—する事ができた。
→ 『真昼にて(DEMO)』のフリー・ダウンロードはこちら
INTERVIEW
—新作『AHYARANKE』よかったです。どこでレコ—ディングをしたのですか?
畠山健嗣(以下 畠) : GOKサウンドです。近藤祥昭さんにとってもらいました。もうやりたい放題で…アナログで撮ったんですよね。
英真也(以下 英) : 俺テ—プ切りましたよ。曲の途中でガ—鳴ってる時にフって消える曲がやりたくて、近藤さんに言ったらじゃあ切っちゃおうよってなって、その部分は俺がはさみで切りました(笑)
—いい音ですよね。なぜ今回アナログでとる事になったのですか?
畠 : アナログ感のある音にしたいという話をしていて、前のアルバム『LOVE』がカセットMTRでいったん音をつぶしてからマスタリングで直すという作業をしているんです。そういう風にしたいという話をしていたら、じゃあ最初からアナログで撮っちゃえばいいじゃんということになったんです。
—アナログで音を撮るよさはどこにあると思いますか?
畠 : ハイハットの感じとか、ドラムの音の太さとかも全然違うし。音がひずんだ時にガチッと来るのじゃなくてモワッとひずむ感じが出したかったんですよね。
松島昴(以下 松) : 僕としては、ベ—スの膨らみ方やいい感じの丸さが出たのがすごく良かったですね。
—なによりも演奏の技術が高いですよね。オルタナ感やロ—ファイ感に逃げてないという感じがしました。
畠 : 自分たちのル—ツやバック・グラウンドがオルタナだけじゃないんです。プログレだったり、ニ—ル・ヤングだったりでメンバ—それぞれがバラバラなんです。
松 : 僕のベ—スはジョン・ウェットン(king crimsonのベ—シスト)ですね。ベ—ス始めた頃からずっとジョン・ウェットンに憧れています(笑)
英 : ワン・ジャンルに固執するのに興味はないんです。プログレを聞いても、パンクを聞いても、色々なジャンルを取り込んでFAR FRANCEなりにアウトプットしていきたいですね。
—どんなア—ティストを取り込んだり影響をうけたりしているんですか?
英 : 僕はコ—ネリアスが好きで、ロ—ファイ感がありつつデジタルでミニマルな感じが好きなんです。少なからず影響が出ていると思います。それとア—トワ—クも影響を受けていると思います。
—新作のジャケットのア—トワ—クは誰が作ったのですか?
英 : イラストはベ—スの松島君が書いて、デザインは僕が作りました。ア—トワ—クは音楽の次にリスナ—が注目する部分だと思うんです。だから、完全に自分たちでやるようにしています。
—FAR FRANCEの音楽は色々な要素があるけれども、何かっぽさはないと思います。その辺りは自分達ではどのようにとらえていますか?
英 : ブッキングでライブに出ていた頃は、「どのバンドと当てればいいか解らない」とよくいわれましたね(笑)自分達でどんなバンドか説明する時は本当に困りますね。
畠 : こういう音楽をやろうぜといってバンドを始めた訳ではなく、今もその延長線上にいるんです。メンバ—がそれぞれ好きな音楽も違うから、話し合ってもじゃあこれをやりましょうとはならないんですよね。自分達で新鮮だと思える音楽が作れればいいと考えています。
—元々どのようにして結成したのですか?
畠 : 僕と英が宅録をしたのが始まりなんです。ひたすらノイズを録音したりとか、おもちゃのキ—ボ—ドについてるリズムの音を入れて音楽を作ったりしていましたね。
英 : 中学に入る前から知り合いだったんですけど、最初は音楽の話とかは一切しなかったです。たまたま多摩市の図書館でギタ—・ウルフの『JET GENERATION』を借りて返そうと思った時に、畠山がいて「ギタ—・ウルフとか聴くんだ? 俺初回限定の革ジャケやつ持っているよ」って上から言われて(笑)それで音楽の話するようになって、宅録をしに家に遊びに行くようになりましたね。その頃は今よりアバンギャルドな事をしていましたね(笑)
—FAR FRANCEは東京のシーンの大きな一つの核だと思います。そういう事を意識したり、これから大きな動きは考えていますか?
畠 : 去年実はやりたくてやれなかった企画があって、8バンドくらい集めて同世代と上の世代を混ぜたイベントをやりたいと思っていたんです。結局頓挫してしまったんですけど、今年の暮れ位にはやりたいと思っています。何か巻き起こしたいというか、いろんな所を繋げてごちゃごちゃにして、みんながもっと楽しめる空間が作りたいです。
—あなたたちや同世代のバンドだから出来ることはどんなことだと思いますか?
畠 : やオワリカラとか僕ら世代が持っている「ごった煮」とか「形容しがたい音楽」で、もっとジャンルや世代の壁を壊す起爆剤になれればいいなと思っていますね。
—2009年、2010年のリリ—ス予定や台頭してきているバンドを見ていると今後東京のシーンに大きな動きがあると思います。そんな中この先FAR FRANCEはどうなっていくと思いますか?
畠 : 簡単に消費されないようになればいいと思います。そのためには発信するバンド側がどれだけ面白い事を提供していけるかが重要になっていくと思います。
—メジャーに行きたいと思いますか?
英 : メジャーに行きたい気持ちもあるし興味もあります。個人的には音楽で生きていきたいので。インディーズで自由な感じで好きなイベントに出て、かっこいいバンドと共演するのもいいんですけど、一回ストイックな音楽の業界を体験したいというのはあります。
畠 : 僕はあまり考えてないですね。何となくですけど、やってる事がかっこよければ食っていけるという世界ではないと思うんです。そこには色々な問題があると思っていて、自分達の生活を守るためにはギャラとかイベントとか複雑な面がある気がします。「これだ !」という自分達の音楽ができるまでは、なろべくそういう事を考えずにひたすらやる面も必要だと思います。そういうことよりも、自分達は音楽でもっと出来るだろうということしか頭に浮かばないです。
—2009年の大きな目標は何ですか?
畠 : 自分がすごく好きな音楽って微妙な地点にあるものだと思うんです。その点を見つけたいです。それがどこに行き着くかは全然解らないんですけど、今はまだその地点にいるわけではないと思いますね。
英 : 俺は単純ですけど、ずっと元気にライブができたらいいなぁと思いましたね(笑)
—最後に1年ぶりに下北沢shelterでのワンマン・ライブとなりますが、意気込みを聞かせて下さい。
英 : 正直な話、去年のワンマンは納得できませんでした。経験の浅さが出てしまっていて今回はリベンジだと思っています。1年経ってスタジオ盤出して、たくさんライブをやって厚みの増したFAR FRANCEを同じ場所で出したいと思っています。
畠 : 『LOVE』っていうライブ・アルバムが衝動をパックしたものになって、それが裏目に出た部分もあります。今回の『AHYARANKE』は衝動の裏側にある鬱屈とした感情やフレ—ズの細部が見えるアルバムになったと思います。そういう部分が今回のワンマンでは出ると思いますね。
英 : 今年のワンマンはいいライブができると思うので是非来て下さい ! !
LIVE SCHEDULE
- 02.14 (sat) @下北沢SHELTER
- 02.15 (sun) @新宿red cloth
- 02.20 (fri) @八王子Matchbox
- 02.24 (tue) @横須賀かぼちゃ屋
- 02.26 (thu) @HEAVEN’S ROCK 宇都宮
- 03.02 (mon) @千葉LOOK
- 03.04 (wed) @名古屋CLUB ROCK'N ROLL
- 03.05 (thu) @十三ファンダンゴ
- 03.06 (fri) @京都NANO
- 03.08 (sun) @京都METRO
- 03.13 (fri) @下北沢CLUB QUE (ALL NIGHT)
- 03.22 (sun) @新潟RIVERST
- 03.23 (mon) @金沢vanvan V4
- 03.28 (sun) @仙台MACANA
- 03.30 (mon) @吉祥寺PLANET K
05.22 (fri) 『AHYARANKE』 RELEASE TOUR FINAL ワンマンライブ@下北沢SHELTER
OPEN 19:30 START 20:00/ADV 2000 DOOR 2300(ドリンク代別)
チケットぴあ(Pコ—ド:316-717)/LAWSON(Lコ—ド:74003)※2/20発売開始
問合せ 下北沢SHELTER(03-3466-7430)
LINK
- FAR FRANCE website : http://www.farfrance.com/
- FAR FRANCE myspace : http://www.myspace.com/ecnarfraf
- 最新PV(『AHYARANKE』収録“真昼にて”) : http://jp.youtube.com/watch?v=mUp3yqawnTE
- 「addict」 at 下北沢SHELTER : http://www.youtube.com/watch?v=hxZipFrljWI
FAR FRANCE
英真也(Vo&Gt)/畠山健嗣(Gt)/松島昴(Ba)/高橋豚汁(Dr)
メンバ—全員1987年生まれ、西東京在住。2008年2月に初の公式音源にしてライブ盤『LOVE』をリリ—ス。強烈なるデビュ—を飾る。ワンマン・ライブや3ヶ月連続自主企画、KING BROTHERS/ズボンズ/ミドリ/嘘つきバ—ビ—/を迎えた真夏のカオティック・フェスティバル『大運動会2008』を開催するなど、貪欲にライブ活動を積み重ねる。2009年2月、待望の初スタジオ・アルバム『AHYARANKE』をリリ—ス。
ロ—ファイでパンキッシュ、ハ—ドコアにポップ、加えてサイケなプログレ……そんな謎めいた奇天烈ロック・ワ—ルドでライブ・シ—ンを絶賛奔放中!型破りにもほどがある!
CLOSE UP : HANDSOMEBOY TECHNIQUE