2024/05/03 18:00

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.271

OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)


名古屋のクラブ・カルチャー

4月中旬、名古屋でDJする機会があった。ヴェニューは、〈薬膳バー〉。名古屋随一の繁華街、栄の中心にひっそりと位置している〈薬膳バー〉は、ストイックかつハピネスなパーティーが連日開催されており、その日も20時からなんやかんやで翌朝7時前まで続いたモンスター・パーティーになった (めちゃくちゃ楽しかった!)。

もちろん、名古屋のクラブは〈薬膳バー〉だけではない。来日公演も多い〈club JB'S〉や〈club GOODWEATHER〉、名古屋のローカル・シーンを支え続けている老舗・〈club buddha〉に加え、音響が良すぎると方々から聞き、期待値が高まりまくっている〈CLUB MAGO〉、さらには〈Kalakuta〉や今池方面の〈Sound bar NORMAL〉なんて箱も。しかも、〈薬膳バー〉から〈club JB'S〉は徒歩30秒、近郊には〈club GOODWEATHER〉などもあり、渋谷よりもはるかに規模的に狭い栄エリアにその多くが密集しているのだ。実際、街に繰り出すと、若者たちの「今日どこ行ってんの?」といった会話が方々から聞こえてくる。東京はクラブ自体の母数が多く、なおかつ点在しており、コミュニティが分散していることがしばしば。近いことをやっているのにも関わらず、なかなか交わらないこともよくあるだろう。しかし、名古屋は一箇所にクラブが集まっているため、世代、ジャンル関係なく自然と重なる機会が多いのだ。

名古屋含め愛知はイカしたヒップホップ・アーティストが多いという印象があったが、そりゃあこれほどローカルなつながりが強固なら、自ずとタレントは生まれていくわけだ。一箇所に集中している個性的なクラブ、あるいはそこから飛び出して路上でも日々コネクションは生まれる。小さなコミュニティから大きなムーヴメントへ、そこで輝く才能をもったアーティストは愛知を飛び出し日本、世界へとその活躍の場を広げていく。名古屋を拠点とするアーティストは、ジャンルや立場関係なく同じ箱、パーティーで交わり、スキルを磨いていっていることが肌感覚で理解できた瞬間だった。

列挙したヴェニューでキャリア初期から現在を過ごしているであろう、ラッパーそしてダンス・ミュージックのプロデューサーはみなタレント揃い。ダンス・ミュージックのプロデューサーがラッパーのトラックを制作していたりと、密度高いコミュニティならではの化学反応も面白い。今回は、名古屋出身、拠点アーティストの楽曲をチョイスした。またすぐにでも名古屋に行きたいな。

この記事の筆者
Kusaka. Ryu

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