2014年02月19日 東京弁護士会 会長 菊地 裕太郎 1 安倍晋三内閣総理大臣は、2月12日の衆議院予算委員会において、委員の質問に対し、集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更をめぐり、「(憲法解釈の)最高の責任者は私だ。政府の答弁に私が責任をもって、その上において選挙で審判を受ける。審判を受けるのは法制局長官ではない、私だ」と答弁した。これは、内閣法制局における議論の積み重ねを尊重してきた歴代内閣の基本見解を覆すものであるだけでなく、時の政権の思惑によりいつでも自由に憲法解釈の変更ができるとするものであり、また憲法解釈の変更後に選挙で審判を受ければ良いという考え方は、憲法が定める厳格な憲法改正手続を実質的にないがしろにするもので、立憲主義と憲法秩序を根本から破壊することにつながり、到底容認できない。 2 また、安倍内閣総理大臣は、去る2月3日の同委員会においても、立憲主義について「
憲法によって国家を縛り、その憲法に基づいて政治を行う。 民主主義国家の基盤ともいえるその原則が、近年、大きく揺らぎつつあります。 憲法違反の発言を繰り返す政治家、憲法を無視して暴走する国会…。 「日本の立憲政治は、崩壊の危機にある!」 そう警鐘を鳴らす南部義典さんが、 現在進行形のさまざまな具体的事例を、「憲法」の観点から検証していきます。 第12回 内閣による憲法解釈の実際(後編) ―歯止めをかける術― (前編)では、内閣による憲法解釈の源は、内閣法制局にあることを紹介しました。ほとんどの国民は内閣法制局長官の顔と名前を知りませんし、多くの国会議員は内閣法制局がどこにあるのかさえ知りません。が、政府内部の「憲法の番人」として、公務員が尊重し擁護すべき憲法の解釈を事前に確定し、憲法政治を安定維持させる重要な任務を黙々と遂行しているのです。 そんな内閣法制局ですが、第2次安倍内閣が発足し、集
憲法によって国家を縛り、その憲法に基づいて政治を行う。 民主主義国家の基盤ともいえるその原則が、近年、大きく揺らぎつつあります。 憲法違反の発言を繰り返す政治家、憲法を無視して暴走する国会…。 「日本の立憲政治は、崩壊の危機にある!」 そう警鐘を鳴らす南部義典さんが、 現在進行形のさまざまな具体的事例を、「憲法」の観点から検証していきます。 第11回 内閣による憲法解釈の実際(前編) -集団的自衛権行使をめぐって- ▼憲法第9条の解釈変更に着手? 昨年12月26日、第2次安倍内閣が発足しました。その施政方針は1月28日に召集される通常国会冒頭、衆参本会議での演説で明らかになります。安倍カラ―がどう滲み出てくるのか―なかでも、政府解釈として禁止されている「集団的自衛権の行使」を容認する方向で、2月に訪米する前にも、有識者会議で議論する意向であるとの報道があります(*1)。その真意は、施政方針
法律をつくるのは国会、それを現実にあてはめて争いを裁くのは裁判所。高校までの教科書ではこう習う。だが、実際の法案づくりや憲法解釈には、官僚組織である「内閣法制局」が大きな力をもってきた。8日に発足した菅直人民主党政権は、これからは政治家が憲法解釈に責任を持つと強調した。官僚支配の打破なのか。多数派の横暴なのか。司法、立法、行政のありかたが問われる。
安倍首相が内閣法制局長官に小松一郎駐仏大使を起用したことが論議を呼んでいる。ふだんは話題にもならない地味なポストが注目されるのは、小松氏が集団的自衛権を容認する立場だからである。朝日新聞はさっそく元長官にインタビューして「憲法の拡大解釈の歯止めが必要だ」と言わせているが、これは筋違いだ。憲法解釈をするのは、法制局ではなく裁判所である。 法制局は明治憲法でも規定されていないのに、内閣の調整機能をが弱いため、その一部を代行し、初期の参事官に美濃部達吉や穂積八束など帝大法学部の教授がなったため、高い権威をもった。このため戦前の政党政治では、法制局長官は各省の次官と並んで重要な人事であり、政治任用だった。 敗戦によって法制局は廃止されて司法省(当時)に統合されたが、サンフランシスコ条約後に復活した。本来は法令審査機能しかないのに「内閣法制局」となり、事務次官会議にも出席する。その最大の理由は、各省
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