今から七年以上前の話だが、TBS『ニュース23』の佐古忠彦キャスターが、筑紫哲也との合いの手の中で「今はもう戦後ではなくて戦前じゃないかという声もありますね」と小さく漏らしたことがある。この十年ほど佐古君は私のお気に入りで、大袈裟に言えば希望そのものだが、このときの一言は特別に印象深いもので、忘れられずにずっと心の中に格納されたままでいる。佐古君の端正で生真面目な風貌と正義と真実への真摯な態度は、日本のジャーナリズムの最後の良心を象徴しているようであり、このまま崩れず、崩されず、ずっと続いて行って欲しいと願うのみだが、佐古君のその言葉を引き継いで今の時代の本質を一言で射抜くなら、現在はまさに戦前と戦中の間である。戦中に一歩入り込んだ。その感を強くする。いつから戦中に足を踏み入れたのか。それは三年前の小泉首相の北朝鮮訪問から始まった拉致事件騒動の時からであり、街中やネット中に右翼の青リボンが
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