そんなもの 放送できるわけがない 周囲の人たちの反応によって、僕は自分がどうやら、「普通ならやらないこと」をやり始めていたことに気がついた。これをもう少し具体的に書けば、それまで撮った映像を部分的に繋いでパイロット版を作り、フジテレビ以外のテレビ局のドキュメンタリー番組担当のプロデューサーやデスクを訪ね歩いたのだが、「オウムの現役信者のドキュメンタリーなど放送できるわけがない」との返答をそのほとんどから突きつけられ、どうやらフリーランスのテレビ・ディレクターとしては、越えてはならない一線を越えてしまったのかもしれないと気づき始めていた。 ただし、一線を越えかけていると気づきはしたけれど、その一線が引かれた理由や意味は、相変わらずわからない。 今もよく覚えているのは、業界では老舗の制作プロダクションの社長で、現役のプロデューサーでもあるBさんの反応だ。このプロダクションとは以前に何回か