近年、南米で行われたほぼすべての大統領選でハッキングを行ったアンドレ・セプルヴェダ。こう見えてまだ31歳 PHOTO: JUAN ARREDONDO / GETTY IMAGES 「現代において、ハッカーが関与していない選挙などない」──おそよ10年もの間、南米の数多の選挙を影で操ってきた天才ハッカーが、初めてメディアの取材に応じ、その手口を赤裸々に語った。 対立候補のコンピュータに侵入して徹底的に恥部を暴きだし、架空のSNSアカウント集団を使って虚構の政治ブームを作り出す──彼の華麗なるサイバーテクニックの前には、「真の民主政治」などもはや幻想でしかないのだろうか。 南米でもっとも腐敗に満ちた選挙の「黒い秘密」を知る男 2012年7月、エンリケ・ペーニャ・ニエトがメキシコ第57代大統領の座を勝ち取ったのは、ちょうど真夜中に差しかかる頃だった。 ペーニャ・ニエトは州知事や市長などを輩出する