北アルプスの荘厳な山容と国宝・松本城を中心とした趣ある城下町、日本の原風景ともいえる田園地域など、魅力あふれる観光都市として知られる長野県松本市。清らかで文化の薫り高いイメージがある地方都市だが、どうも交通マナーの上で評判が悪いようだ。インターネット上では「松本ルール」という言葉をめぐって、交通道徳の欠如を批判する書き込みなどがかまびすしい。市でも対策に乗り出したが、果たして市民の心に届くか−。(太田浩信) 松本の市街地でハンドルを握ると、他の都市と周りの車の動きが違う。交差点で左折する際、対向の右折車がこちらよりも先に曲がり抜けようとする。すぐ前を走っていた車が左折すると、右折待ちの車が突っ込んできて、直進しようとするこちらは進行を妨げられて急ブレーキを踏まざるを得ない。そんなことがしょっちゅうだからだ。 こうした松本における“独特”の交通慣習が「松本ルール」と呼ばれ、かなり広く知られて