「日本語世代の人たちにとって、日本人だったことは過去形ではない」と語る酒井充子監督元日本兵の蕭錦文さんは日本人観光客にボランティアで歴史を伝えている。日本人に親しみを持ちつつ日本政府への批判の言葉は厳しい=太秦提供 日本の統治時代に学校教育を受けた台湾の「最後の日本語世代」を追ったドキュメンタリー映画が完成した。監督は団塊ジュニア世代。「あまりに過去を知らなかった」自らへの反省が出発点だった。あの時代への愛憎が入り交じる彼らの言葉から、戦後の日本と台湾の関係が浮かび上がる。 酒井充子(あつこ)監督(39)の「台湾人生」が追うのは、1920年代生まれの台湾の人たちの人生だ。終戦時は20歳前後。同化政策と日本語教育が強化された時代にちょうど学校教育を受けた。 同窓会で響く日本語校歌。女学校で茶道や華道の作法を身につけ、「日本人より日本人だった。男なら特攻隊に志願していた」と言い切る女性。