くも膜下出血は動脈瘤の破裂に伴う頭蓋内の出血性疾患で、脳血管疾患のなかでも若年に多く、他の脳血管疾患に比べ記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などのいわゆる高次脳機能障害をきたしやすい。またこれらの症状は急性期以降に顕在化することもあり、社会参加場面で問題となりやすい点は脳外傷に伴う場合と類似している。 急性期の合併症である脳血管攣縮以外にも、水頭症やてんかん等の併発により、急性期以降であっても症状の増悪を認めることがある。そのため、急性期から適切な評価を開始するとともに、その後も社会参加に向けて、継続して適宜介入の上、評価の継続、認知リハビリテーション、薬物療法、環境設定、家族指導、各種制度導入が求められる。 予後として社会復帰困難となるケースは依然多くある。社会復帰の阻害因子として、遷延性意識障害や身体機能障害に加え、最近では高次脳機能障害に伴う影響も注目されるようになって