関西や九州など西日本から羽田に向かう飛行機は、そのまま空港に一直線に着陸せず、グルッと千葉方面から回り込んで高度を下げる。羽田から西へ向かう場合も、わざわざ東京湾上を旋回してから向かう。「ずいぶん遠回りするなァ」と舌打ちする利用者は少なくないはずだ。 原因は首都圏上空に存在する巨大な「見えない空の壁」にある。そこを飛び越えたり、 回したりするため、戦後70年、民間航空機は遠回りを強いられてきた。空の主権が奪われたままであることにより、我々は大きなコストを支払わされている。 これが日本の政治家、官僚がタブー視して触れない「横田空域」問題である。 横田空域とは、東京・福生市にある米軍横田基地の上空を中心に広がる空域のことだ。戦後、連合軍が日本の空の管制権を掌握した後、日米地位協定に基づいてそのまま米軍が管理することになった。現在、米軍管理下の「横田管制」が空域を管理している。 「横田」という名