「生き方」を考えるとはどういうことかを考える本。 その一方で、「プラトニズム」批判も展開されている本であり、まさに「生き方」と「哲学」の本になっている。 ウィトゲンシュタイン研究で知られる筆者だが、この本で前面に出てきているのは実はアリストテレスとキルケゴールである。 だが、「プラトニズム」批判となっている分析のあたりは、後期ウィトゲンシュタイン的である。 ところで、実は、というほどのことでもないのだが、僕は学生時代に鬼界先生に教わっていたことがあり、 出来の悪い教え子ではあったけれども、読みながら鬼界先生からの講義を思い出したりしていた。 例えば、この本ではレイモンド・チャンドラーが何度か引用されているけれど、僕はちょうど飲み会で先生がチャンドラーについて熱く語っていたところに居合わせたことがあったりするw 本書は基本的には、 アリストテレスの「キネーシス」と「エネルゲイア」の区別を重視