巨大都市東京を管轄するとともに、首相や皇族、外国要人らの警護にあたる警視庁。組織の規模は群を抜き、101の警察署、警察官約4万3000人を擁する。旧藩邸を転じた明治の創設時から、地上18階、地下4階の現庁舎時代まで、135年の歴史を重ねてきた。首都にあって、時の政権と並走し、近代日本の力を象徴した警視庁庁舎の転変を、御厨貴・東大教授が探る。 ◇帝都の警護に七変化 二・二六事件想起した昭和天皇の現庁舎行幸 「警視庁と警察庁」「警視総監と警察庁長官」、はてさて何がどう違うのか。桜田門といえば警視庁の建物のことだ。高度成長期に人気のテレビ番組「七人の刑事」(注1)は、独特の男声ハミングとあの桜田門に威容を誇るチョコレート色の旧警視庁庁舎の空撮から始まった。そういえば、“おまわりさん”も所轄の“刑事”もすべて警視庁に属する。あの泣く子も黙ると言われたかどうか、“機動隊”だってそうではないか。目に見