夜明け前の空に金星がひときわ輝いています。三日月のそばにあるので、細くなった月を照らすかのようです。輝いて見えるのは金星の大気が太陽の光を反射するためです▼星の大気に興味を持った女性天文学者の生涯に関するエッセーを読みました(『UP』1月号)。イギリス生まれのシシーリア(セシリア)・ペイン。『理科年表』に、1925年に星の主成分が水素でできていることを発見したとあります。ただ、この結論が認められるまで長い歳月がかかっています▼エッセーにはその歩みを興味深く書いています。組曲「惑星」を作曲したホルストが教師をする女子学校で、彼から指揮法を学びますが、科学の道を選択します。それは当時の女性にとってきわめて困難な道でした▼物理の講義の聴講は規則で最前列に座り笑いものにされ、学位論文を提出しても学位授与を学科主任や学長が拒否。長く正規の教員になれず、大学の正規職員になれたのは、女性を差別する学長が