「当事者」の時代 (光文社新書) 著者:佐々木 俊尚 販売元:光文社 (2012-03-16) 販売元:Amazon.co.jp ★★★☆☆ 日本社会が閉塞感におおわれている原因は政治家や官僚や経営者だけではなく、著者も指摘するようにメディアにもある。彼らはエリートのように見えるが、取材対象である政治家や官僚に比べると周縁の側にいるので、一般庶民=読者に対するエリート意識とともに国家権力に対するルサンチマンを抱えている。 この二律背反の中で、ジャーナリストは権力への反感をマイノリティの「運動」を取材することで代弁してもらう。こうした社会的弱者への自己同一化を著者は「マイノリティ憑依」と呼ぶが、これは55年体制の中で決して権力を取らないことを前提にしてきれいごとを言っていた社会党に象徴される無責任構造だった。 一方で権力に依存しながら、他方でそれを「市民の目線」から批判するご都合主義は、社会