きのう好きで好きでたまらなかったものが、明日も同じように好きだとは限らない。私たちの心は、その時どきの感情や雰囲気に流されやすいものです。いっそのこと、そんなうつろいやすい意識を捨てて、「無意識」や「データ」を民主主義のアップデートに活用できないか。そんな考え方が今、注目されています。「実現すれば、選挙や政治家すらもいらなくなる」と唱える、成田悠輔・米イエール大学助教授(34)に、民主主義の未来の姿を聞きました。(聞き手・玉川透) ――私たちが慣れ親しんでいる民主主義は、かなり過去の社会や技術を前提としていることが問題だと、成田さんは説いていますね。 いくら普遍的な理念を目指したと言っても、私たちが民主主義とよんでいるものの運用は、ざっくり数百年前の人々が考え出したものです。数百年前の社会と技術の環境を前提として作られているのです。 当時はほとんどの人が生まれた土地で育ち、働いて死にました