国際高等研究所 ニューロインテリジェンス国際研究機構 機構長 ヘンシュ貴雄 脳の臨界期の引き金とブレーキを解明。障害・病気の解明と、AI研究との融合を目指す。 日本人の母と話すときは日本語、ドイツ人の父と話すときにはドイツ語、家の外ではアメリカ英語。幼少期のヘンシュの頭の中には3つの言語があり、相手によってスイッチを切り替えるのが普通だった。でも、どうやら自分以外の人はそうではないようだ。 小学6年生になり、授業でフランス語を学び始めると、ぼんやり感じていた違いがはっきりとした形をとって現れた。友達はみんな新しい言語を学ぶのに四苦八苦しているが、自分はほとんど苦にならない。何がこんな違いを生んでいるのだろう? 「そのとき、脳に対する興味が生まれました」 大学に入る時には人工知能を研究したいと考え、数学を専攻。しかしまだ生物の脳そのものの科学的知見が乏しいことを知って生理学的な研究へ転向した