リニア中央新幹線静岡工区について静岡県が着工を許可していない問題で、南アルプスの自然生態系(生物多様性)の保全が焦点となってきた。背景にあるのは、トンネル工事による地下水位の低下という難問。高山植物や絶滅危惧種の魚はどうなるのか。これまで注目された水問題(トンネル工事による大井川の水量減少)や工事で出る建設残土問題に加え、生物多様性の維持という点で、JR東海は県や関係者の懸念を払拭できるのか。 南アルプストンネル工事による地下水位低下という難題 リニア中央新幹線東京―名古屋間の建設事業について、JR東海は7年前、2014年8月に国の環境影響評価法に基づく環境アセス手続きを終了した。静岡県の環境アセス条例には、国の環境アセス手続きが終わった後もフォローできる仕組みがあり、県はこれに基づいてJR東海に説明を求めたり意見を表明したりしてきた。 工事による地下水位の低下は、2020年7月、静岡県と