キリスト教とイスラームの母体であるとされるユダヤ教。そこには聖書(キリスト教の呼称では『旧約聖書』)を経典とするという共通点がある一方、神との「媒介者」の有無をはじめ、いくつかの違いがあるそうです。ユダヤ教の信仰とは一体どのようなものなのでしょうか。経典『タルムード』の特徴、戒律、迫害の歴史、科学との親和性、「始原の遅れ」等、ユダヤ人の知性を基礎づけているこの「異次元」の宗教について、思想家の内田樹先生にお聞きしました。 ――ユダヤ教にはナチスのホロコーストをはじめとして、本当に苛酷な迫害の歴史があるわけですけど、それによって改宗する人もやはりいたんですよね。 キリスト教に改宗するユダヤ人というのはどの時代にも一定数はいたんです。でも、せっかく改宗しても、それはそれで「改宗ユダヤ人」という新しいカテゴリーに組み込まれるだけで、「ユダヤ人」のタグは外せない。 ――どうしてわかっちゃうんですか