研究概要 協力はヒトという種を特徴づける性質の一つです。他者に協力した人の社会的評判は上昇し、我々はそのような人に対し報いたくなる感情を持ちます。この仕組みは間接互恵性と呼ばれ、人類が大規模な協力を達成できた主要な要因であると考えられています。 しかしながら従来の研究では、他者の評判について集団全体が一致した意見を持ちうる場合にのみ、間接互恵性は機能すると考えられてきました。言い換えれば、各個人が個別に他者を評価し合う世界では、協力は達成できないと考えられてきました。 本研究では、間接互恵性の進化数理モデルを理論的に解析し、この問題を検討しました。その結果、各個人が個別に他者を評価する状況下でも、間接互恵性による協力は安定に維持されることを発見しました。また、他者を評価するルールがある程度単純であることが、この成功の鍵であることも分かりました。 これらの成果は、人類進化における間接互恵性の