ブラジルの食肉処理場で、解体したウシを移動させる作業員。ブラジルは世界に出回る牛肉の多くを輸出している。(PHOTOGRAPH BY PAULO WHITAKER, REUTERS) 食肉は将来、どんな風に作られるようになるだろうか。 ここに一つの未来図がある。 肉は、巨大なバイオリアクター(生物反応装置)で幹細胞を培養して製造される。幹細胞は、この食肉工場の脇でのんびりと暮らすブタから採取したものだ。ときおり技術者がブタに針を挿して検査し、肉好きな村人がブタと触れ合いながら、培養肉を買っていく・・・。 この未来図は、学術誌『トレンド・イン・バイオテクノロジー』の6月号に掲載された論文に、少々アレンジを加えたものだ。論文の執筆者はオランダ、ワーヘニンゲン大学の哲学者コル・ファン・デル・ウェーレと生体工学者ヨハネス・トランパー。彼らは、現代の食肉生産が、地球や家畜そのものに与える影響を懸念し