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「便はダイヤモンドより価値がある」 起業したサッカー元日本代表の挑戦

腸内細菌を研究するベンチャー企業「AuB」の社長で、元サッカー日本代表の鈴木啓太さん=東京都中央区のシェアオフィスで2021年1月12日午後3時50分、尾形有菜撮影
腸内細菌を研究するベンチャー企業「AuB」の社長で、元サッカー日本代表の鈴木啓太さん=東京都中央区のシェアオフィスで2021年1月12日午後3時50分、尾形有菜撮影

 人間の便を研究するベンチャー企業「AuB(オーブ)」の社長、鈴木啓太さん(39)。サッカー元日本代表で、浦和レッズの中心選手として活躍した。転機となった中東遠征、苦しんだ資金繰り……。「便はダイヤモンドより価値がある」と、“うんちビジネス”にまい進する第二の人生に迫った。【尾形有菜】

「人の心を動かせた時が感動します」

 東京・京橋駅近くにあるシェアオフィス。社員が「啓太さん」と親しげに呼ぶ先に、白いトレーナーに黒のパンツと、ラフな格好をした鈴木さんがいた。最近は新型コロナウイルス感染拡大の影響でテレワーク中心。緊急事態宣言中の1月12日は、週に1度の出社日だった。

 「在宅ワークで生活を見直したら、早く寝て、早く起きてしまうんですよね。起きてちょっと活動して。バナナのようなするっと出るうんちが自分は良い便だと思うんですけど、今日も調子は良かったです」

 AuBは、アスリートの便をもとに腸内環境を解析、研究し、商品開発にもつなげる企業だ。正社員は6人。研究室は東京・日本橋と香川県にあるが、細菌を扱っているため研究者以外は頻繁に入れない。ほとんどの社員は、シェアオフィスなどで仕事をする。

 「アスリートの腸内環境を研究することで、人それぞれの正しい生活習慣を伝えていきたいんです。好きなことをやりたい、チャレンジしたい時、何歳になっても体を動かせるって大事じゃないですか。そういったことに貢献できたらと思っています。便は今、『茶色いダイヤ』として注目されています」

 なぜプロサッカー選手から一転、腸内環境の研究をしようと思ったのか。生い立ちにも関係があ…

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