「アイドルは世界を明るくできる唯一の存在」──神宿・一ノ瀬みかのアイドルとしての生き様
原宿発の5人組アイドル・ユニット、神宿。OTOTOYのコラボ連載〈神宿 road to success!!!〉第20回となる今回は、一ノ瀬みかにソロでのインタヴューを行いました。ニューアルバム『THE LIFE OF GIRLS』には、彼女の初のソロ楽曲“Outro:Lion”、そして一ノ瀬みか自身が作曲にも挑戦した“Trouble”収録されています。この作品を通して彼女は何を伝えたいのか、たっぷり語っていただきました。
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INTERVIEW :一ノ瀬みか(神宿)
はじめて一ノ瀬みかにインタヴューをしたのは、彼女がまだ18歳のときだった。10代とは思えないような落ち着きようで、どこか達観していて、その凛とした佇まいに驚かされたのを覚えている。今回はニューアルバム『THE LIFE OF GIRLS』の楽曲解説はもちろん、作品を通して彼女がどのような成長を遂げたのかを探っていった。「アイドル・一ノ瀬みかとは何者なのか?」を質問するなかで、彼女の覚悟を垣間見た。
インタヴュー&文:真貝聡
撮影: 飛鳥井里奈
小さい頃から作曲まがいなことをするのが好きだった
──先日“Caramel Sweet”のMVが公開されましたね。
一ノ瀬 : この曲は「夏フェスでみんなと盛り上がれて、明るくなれる曲」というイメージで作りました。西海岸的なサウンドというのもあり、MVでもアメ車の前やバーガーショップで歌っているシーンがあったり、周りの小道具も含めて70’Sっぽい雰囲気にしました。実は、2番まで一発撮りで撮影したんですよ。1回でも失敗したら、もういちど頭から撮り直しだったので「早くしないと日が暮れちゃう!」という緊張感のなか、みんなで神経を研ぎ澄ませながら頑張りましたね(笑)。
──完成したMVを見てどう思いました?
一ノ瀬 : こういうアメリカンなスタイルって、個人的に大好きなんですよ。メンバーもハマっている感じがしたし、いまの神宿を体現できたMVになったんじゃないかなと思います。
──この曲が収録されているアルバム『THE LIFE OF GIRLS』の全曲プレビューがYouTubeに公開されて、リリース前からファンの皆さんが盛り上がっていましたね。
一ノ瀬 : 本当に! アルバムを楽しみにしてくれていた方がたくさんいらっしゃって。「曲が出ることはファンにとって大イベント」という感想もいただけて嬉しかったです。
──今回はアルバム全体についてお聞きするよりも、一ノ瀬さんに話してほしい楽曲をいくつかピックアップして進めていきたいと思います。まずは作詞をされた“MAD GIRL”はどのように作られたんですか?
一ノ瀬 : テーマにしたのは「理想の自分」でした。このサウンドを聴いたときに、みんなが抱く「ストイックな一ノ瀬みか像」にピッタリの曲だなと思って、その期待を裏切らない歌詞を書こうと思いましたね。
──振り付けはARATAさんが担当されたんですよね。
一ノ瀬 : そうです! 私は、以前からARATA先生のYouTubeチャンネルをよく見ていて、ダンスの分析がすごくおもしろいなと思っていたんですよ。で、マネージャーの柳瀬(流音)さんに「もっとダンスを頑張りたいです。新しい先生を付けるべきですかね?」と相談したら「こういう方がいるんですけど」と動画を見せてくれたのが、ARATA先生の映像でした。私としては願ってもない推薦だったので「ぜひお願いしたいです」とダメ元でオファーしたところ、快くお受けいただいた経緯があります。
──ARATAさんと出会ったことで、振り付けやダンスに対する意識は変わりました?
一ノ瀬 : これまでの神宿って、みんなで踊れる楽しい曲がたくさんあることが良さだったんです。だけどARATA先生の考えてくださった“MAD GIRL”の振り付けは、裏のリズムをとってグルーヴィなノリを掴みながら、アイソレーションという体の1箇所だけを動かして体が魅力的に見えるような動きを取り入れていく、アイドルには珍しい動きなんです。最初は苦戦したんですけど、おかげでパフォーマンスの自信に繋がりましたね。
──そして小山ひなさん、塩見きらさんとのユニット曲“Erasor”については「歌っていて泣きそうになる」と言ってましたよね。あれってどういうことなのかなと思って。
一ノ瀬 : “Erasor”を歌っていると、コロナ禍ではじめて有観客ライヴをできた日のことやツアーで北海道へ行った日のことを思い出すんです。その頃はライヴハウスの規制で座ったまま動いちゃいけなかったので、どうしたら良いんだろうと頭を悩ませてました。“Erasor”を歌うたびに、そのときの必死にもがいていた自分が思い出されて、ついつい感情が溢れて泣きそうになるんですよね。
──特に、歌っていてグッとくるパートはどこですか。
一ノ瀬 : ひなとふたりで掛け合いをする場面は、いちばん感情が爆発します。ちなみに私が最もこだわっているのは、CDに収録されていないアウトロの箇所で、ライヴでは原曲と違う歌い回しをするんです。そこは自分の気持ちを音色に乗せて「今日はどういう風に曲の良さを伝えようか」と思いながら歌ってます。
──他にも注目すべきは、一ノ瀬さんがはじめて楽曲制作に関わった“Trouble”。聴いていて気持ちよかったですよ!
一ノ瀬 : わっ!(満面の笑みで)めっちゃ嬉しいです!
──どうやって作ったんですか。
一ノ瀬 : 当初はコンペで曲を集めて、自分たちで考えた歌詞をはめる予定だったんです。だけど、作曲を含めてゼロから作った方が3人で歌う意味が伝わるんじゃないかなって。とはいえ、アルバムの制作スケジュール的にはギリギリで。1週間ちょいで制作をしなきゃいけない中、LINEグループを作って「これができました!どうですか?」「じゃあ歌詞を考えます!」とスピーディに進めながら連日夜中まで作業してましたね。
──みんなでテーマを決めてから、それぞれが作詞作曲をする流れ?
一ノ瀬 : そうですね。私がメロディ、(羽島)めいがラップ、しおみぃが歌詞を考える割り振りになっていたので、最初に作曲をする私がみんなの意見を聞きたいなと思って。「どういう曲にしたいのか」をヒアリングした結果、リズムに乗ってみんなが口ずさめるような楽しい曲が良いよね、という方向で決まりました。
──作曲の知識はどこで培ったんですか。
一ノ瀬 : 恥ずかしくて世に出すのは考えていなかったんですけど、曲自体はちょいちょい作っていたんですよ。それこそ“Trouble”のAメロから1サビまでは元々作っていたメロディラインで、それを変形させて形にしました。
──原型はいつからあったんですか?
一ノ瀬 : 1年ぐらい前かなぁ。いまってアプリを使えば無料で曲を作れる時代じゃないですか。だから何となく口ずさんだメロディを録音して、曲に起こしたら「……よし!とっておくか!」みたいな感じでした(笑)。
──ハハハ、せっかく作ったんだから誰かに聴かせれば良いのに。
一ノ瀬 : 4歳くらいの頃、自由帳に歌詞を書いて家族の前で歌ったり、小さい頃から作曲まがいなことをするのが好きだったんですよ。でも、大人になって憧れのアーティストがたくさん見つかると「自分にこんなの作れるわけない」と思って劣等感を抱いてました。だから、周りに作曲していることを言えなかったし、ましてや人に聴いてもらって否定でもされたら「やっぱりダメだったじゃん」と自信をなくしてしまう気がして、それがすごく怖かったんです。はじめて自分の作った曲をメンバーに送るときは手が震えたし、とにかくドキドキしましたね。だけど、実際にリリースをしてみんなの耳に届いてると思うとチャレンジして良かったなって。「“Trouble”が一番好き」と言ってくれた後に「みかちゃんが作ったなんて知らなかった」という感想を頂いたときはすごく嬉しかったですね。