特別陳列「ミステリー小説のなかに考古学が登場する件」が、橿原市畝傍町の県立橿原考古学研究所付属博物館(橿考研博)で開かれている。古代史研究家としても知られる松本清張の作品など、奈良は多くの小説の舞台になっており、“ミステリー遺跡探訪”をいざなう展示だ。2025年1月19日まで。【皆木成実】
清張ファンの絹畠歩・橿考研主任研究員が22年発表した論文「小説に描かれた考古学世界の理想と現実―松本清張と以後の小説」に基づく展示。晩年、古代史に傾倒した清張は事件と遺跡・遺物を絡めた小説を多く発表する。明日香村が舞台の「火の路」は有名で、国史跡「酒船石」など古代石造物への清張自身の学説も登場する。
他の作家では内田康夫の旅情ミステリー「箸墓幻想」が知られる。邪馬台国・卑弥呼の墓の説もある箸墓古墳(桜井市)の研究者が殺された設定。橿考研がモデルの「畝傍考古学研究所」も登場する。また、万城目学の謎解きファンタジー小説「鹿男あをによし」は、奈良公園(奈良市)や卑弥呼の鏡といわれる「三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)」が出土した黒塚古墳(天理市)が舞台。08年テレビドラマ化され、県内はロ…
この記事は有料記事です。
残り325文字(全文822文字)