新疆ウイグル

テロと抑圧の悪循環 悲観的な将来

新疆ウイグル自治区カシュガルの市場で、スカーフを頭に巻いて買い物をする女性たち。現地ではイスラム教徒の習慣に基づきスカーフで顔を隠すことが禁止されている。青年が長いあごひげを伸ばすことも禁止されている=新疆ウイグル自治区で、隅俊之撮影
新疆ウイグル自治区カシュガルの市場で、スカーフを頭に巻いて買い物をする女性たち。現地ではイスラム教徒の習慣に基づきスカーフで顔を隠すことが禁止されている。青年が長いあごひげを伸ばすことも禁止されている=新疆ウイグル自治区で、隅俊之撮影

 昨年夏、私は中国新疆ウイグル自治区のとある村の小道を歩いていた。中国国内で起きたウイグル族によるとされる「テロ事件」の容疑者の家族を訪ねるためだった。灼熱(しゃくねつ)の太陽の下、額からは汗がダラダラと流れ落ちる。ようやくたどり着いた家の門をたたくと、年老いた父親とみられる男性が扉の奥から姿を見せた。

 男性は私が記者だと名乗ると「よく来てくれた」と招き入れようとした。だが、すぐに表情は一変した。少し離れたところで地元当局の2人の男性がこちらを見ているのに気づいたからだった。ジッと黙り込む父親を前になすすべはない。「どこの記者だ」と話しかけてきた当局者から30分ほどの厳しい尋問を受け、私はその村を離れるしかなかった。

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