再審請求の準備中に、なぜ死刑は執行されたのか――。福岡県飯塚市で1992年に小学1年の女児2人が殺害された「飯塚事件」で2006年に死刑判決が確定し、08年に執行された久間三千年(くまみちとし)元死刑囚(執行時70歳)の遺族に対し、国が開示した執行の関係資料は大半が黒塗りだった。無実を訴えていた元死刑囚に代わって再審請求した遺族側は「早すぎた執行」の真実を探るため、黒塗り資料の開示を求める民事訴訟も起こし、国と闘っている。
「早く再審請求しないと執行されてしまうおそれがある」。死刑確定から約2年後の08年9月、福岡拘置所の面会室。弁護団の岩田務、徳田靖之両弁護士が告げると、久間元死刑囚は自身も含めた確定死刑囚の名前と判決確定日が記されたリストを透明の仕切り板越しに示した。執行済みの死刑囚は横線で名前が消されていた。「まだ真ん中ぐらいだから大丈夫。時間はあるので再審請求お願いします」。久間元死刑囚はそう言って面会室を後にした。
し…
この記事は有料記事です。
残り1569文字(全文2019文字)