2010年4月20日、前原誠司宇宙開発相の私的懇談会「今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議」が宇宙庁の設立を含む提言書を出したという。宇宙庁といえば、筆者も本連載でたびたび指摘してきた事項だ。おおいに賛同できる提言もあるが、見逃せない部分もある。私見を付言しつつ報告書の詳細を見ていきたい。 国内宇宙機器事業撤退の多さが問題意識 有識者会議が抱く問題意識の出発点は、わが国の宇宙産業にみられる衰退傾向だ。国内宇宙機器産業については、就業人口が減少しつつあり、撤退社数の累計も過去8年間で54社を数えており、現在の国の投資額(2500億円程度)では宇宙産業は維持できていない。この結果、ロケット・衛星・地上系において製造や入手が不可能となるとみられる部品までも生じ始めている。 これまでの連載でも指摘してきたが、国内企業撤退の最大の責任はJAXAにある。第一に、JAXAの設置が国内産業育成プランと