志葉氏は、首都キーウ、虐殺が起きたブチャ、首都近郊の激戦地イルピンやボロディンカ、ロシア軍の激しい攻撃を受け続ける第二の都市ハルキウなど、精力的に現地を回った。 虐殺の町ブチャでは、生き残った人々の話を丁寧に拾っている。この地で起きた悲劇のキーワードは「水」だ。志葉氏が言う。 「住民のボロディムさんはこう話してくれました。『攻撃で電気や水道が止まり、生きるため私たちは水を探しに外出せざるを得ませんでした。そして、何人もの人々がロシア軍の狙撃兵に撃たれて死んだのです。私の知人ニコライも、頭を撃たれて死にました』。水を得るために、命を落とした住民が何人もいるんです」 ブチャを訪れたときに印象に残ったのが、亡くなった母親を父親とともに埋葬しいてた10歳のボバくんという少年だという。 「母親のマリーナさんは、ロシア軍の爆撃の衝撃や大音量で心臓麻痺を起こして亡くなりました。私も戦場で、爆撃の衝撃と音