アル・カイダが制したサハラ古代都市 第二のバーミヤン遺跡か。「世界遺産」の聖墓が破壊された。リビア崩壊で武器が流入した。 2012年9月号 GLOBAL by ゴードン・トーマス(インテリジェンス・ジャーナリスト) アフリカ大陸の最貧国のひとつ、西アフリカのマリ共和国北部に、国際テロ組織アル・カイダの紋章をつけた新しい旗が翻った。この北部一帯がついにアル・カイダの手に落ちたのだ。灼熱の砂漠にはためく旗は、北方の隣国アルジェリアに暗い影を落としている。 飢えた約25万人の避難民が近隣諸国の難民キャンプに押し寄せ、さらに20万人が首都バマコへと南下している。機能不全に陥ったマリ政府に、北部地域を奪還する力はあるだろうか。 北部の中心地は「333人の聖人の町」として知られ、かつては金や象牙、奴隷などの商人が行き交う交易地点として栄えた砂漠の古代都市トゥンブクトゥ。トゥンブクトゥはモーリタニアやセ