筋力が徐々に失われる難病、筋ジストロフィー(筋ジス)の症状を、遺伝子の働きを妨げる手法で改善することに、国立精神・神経センターなど日米のチームが成功し、米神経学会誌に発表した。チームは「将来、多くの患者に応用が期待できる」としている。 筋ジスの中で最も多い「デュシェンヌ型」の犬で実験。同型は、筋肉細胞の形を保つタンパク質の合成が、遺伝子変異で途中で止まり、筋力の低下や萎縮(いしゅく)が起きる。 チームは「モルフォリノ」という化合物を注射し、変異した遺伝子が働かないようにする手法を開発。タンパク質を合成できるようにした。筋ジス犬に週1回、計5回注射すると、以前より早く走った。注射しない犬は症状が進み、走るのが遅くなった。 ただ、足の筋肉細胞の中で合成されることを確認したが、心臓ではほとんど合成されず、筋肉の種類で効果が分かれたという。