幸せや、豊かさ。私たちの生活の満足度を決めるこうした価値観は、いかにして形作られてきたのか。そこには鉄道会社の存在が、切っても切り離せないものとして横たわっている。 あなたは「幸せ」ですか? 唐突に問われても、もちろんすぐには答えられない人が多いだろう。とりあえず思いつくのは、当面の衣食住をはじめとする生活に不便しておらず、何がしかやりがいのある人生を送れているということが、「幸せ」になるだろうか。 ただここで厄介なのが、人はどうしても自分を他人と比べがちだということである。自分が他人、世間一般よりも欠けるもの、例えば配偶者なり持ち家なりがないと、とりあえず不便していなくても、なんだか自分が不幸であるように思ってしまいがちだ。 そこで資本主義社会では、人並みの消費をすることで、自分が「幸せ」であることを確認する。かくしてトルストイが言うように、「幸せな家庭はどれもみな同じようにみえるが、不