先日、台湾で空前のヒットを記録した映画『海角七号』を梅田の映画館で観た。 ストーリーや背景に関しては、トゥルバドゥールさんのブログ記事を参照。 この映画を表すのにぴったりくるキーワードは、「イケてない」これだろう。まず、エドワード・ヤン仕込みだというヤン・ダーシャン監督の演出は、エドワード監督のスタイリッシュな映像とは似ても似つかない、スキだらけでイケてないものだ。また、台湾で書いていたブログの記事がもとでスカウトされたという日本人女優の演技もお世辞にもうまいとは言えず、イケてない。たかだか中孝介の前座を務めるために大騒ぎする、主人公率いるバンドの演奏もイケてない。町おこしのために美しい海岸でコンサートを企画する、映画の舞台である恒春の街の「中途半端な辺境さ」もイケてない。地元名産の酒も、ビンローも、少数民族の音楽も、人間国宝級の月琴も、すべてが台湾というローカル性を離れることができないと