「今は佐々木君しかいない。何か実績を残した人じゃないと」。東芝が社長交代を発表した翌3月19日、2代前に社長を務めた西室泰三・東京証券取引所会長は今回の人事をこう評した。 西田厚聰社長からバトンを受け継ぐことになった佐々木則夫副社長は、入社以来、そのほとんどの時間を原子力発電事業に費やした。2006年には米ウエスチングハウス(WH)の買収で中心的な役割を担い、社長に就くための実績を築いた。 発表翌日の新聞紙面は、今回の人事を、選択と集中を進めてきた西田改革路線の継続として、おおむね前向きに報じた。古川一夫社長から7歳年上の川村隆・日立マクセル会長へ交代する日立製作所の異例の人事も、東芝の社長交代をより美しく見せる演出効果となった。西室氏も「本当によかった。皆さんに好意的に受け止めてもらえたみたいで」と笑みをこぼした。 6月にスタートする佐々木体制だが、新社長を待ち受けているのは、試練以外の