河川敷で競歩に励む天野孝三さん=広島市中区の京橋川沿い ウオーキングを楽しむ人は多いのに、なぜ競歩はマイナーなのか――。84歳の現役競歩選手がそんな研究を続け、教育学の博士号を取った。広島市中区の元会社社長、天野孝三(こうそう)さん。広島大大学院での研究に今月で区切りをつけ、今後は競歩をメジャーに、と意気込む。「人生まだまだ。100歳まで元気でいられたら、初めて『やったー』です」 博士論文では、中高年の陸上大会で競歩の参加選手が激減している原因と解決方法を考察した。75歳の時、広島大教育学部に研究生の形で入学。以後9年半、孫のような学生たちと机を並べ、息子のような教官から指導を受けた。探究の末、「ひざを曲げて歩いてはいけない」という、自然な体の動きに反したルールこそが普及を妨げる原因と結論づけた。 12歳で競歩を始め、28歳まで国内の第一線で活躍した。会社社長を70歳で退き、35歳以