関東の大手私鉄に「東武鉄道」「西武鉄道」があり、JR東日本には「南武線」があります。いずれも旧武蔵国の東側、西側、南側がおおよその展開地域です。では北側には「北武鉄道」や「北武線」は存在したのでしょうか。 武蔵国の北側に展開していた北武鉄道 東武鉄道、西武鉄道の会社名で共通する「武」は「武蔵国(むさしのくに)」を示します。武蔵国は飛鳥時代に成立した律令国のひとつで、その範囲を現在の行政区分で示すと、埼玉県のほぼ全域、東京都のうち島しょ地域を除く23区と多摩地域、神奈川県の川崎市と横浜市のほぼ全域、となります。 つまり、東武鉄道は武蔵国の東側に展開する鉄道会社、西武鉄道は武蔵国の西側に展開する鉄道会社となります。ちなみに東武東上線・越生線は西武鉄道寄りの西側を走っています。これはもともと、東上鉄道という会社が東武鉄道に合併したからです。また、西武鉄道の前身は武蔵野鉄道といいました。こちらも合