入管法改正案、長期収容解消の実効性に疑問 「人権軽視」と批判
国外退去処分を受けた外国人が入管施設に長期間収容される問題の解消を図る入管法改正案が、今通常国会で審議される。送還まで社会で生活できる新制度を創設する一方、難民認定の申請回数に上限を設けるなど早期の送還を目指す強い姿勢も盛り込んだが、「問題の解決につながらず、外国人の人権を軽視している」との批判がある。
施設外の生活容認「境遇は改善されず」
「いつまで収容が続くのか分からず、頭も心も体も疲れ果てる。ずっと元気なかった」。コンゴ民主共和国出身の女性(50)は、3年近くに及んだ入管施設での収容生活を振り返る。
母国での宗教的迫害を恐れて2008年に来日し、3回目の難民認定申請中だった18年に収容された。処遇改善を求めて抗議すると職員に制圧され、ショックで自殺を図ったこともあるという。今年1月、健康上の理由などで一時的に収容を解く「仮放免」が許可され、首都圏の難民支援団体の施設に身を寄せている。
母国での迫害を恐れたり、日本に家族がいたりするなどの事情から、出国を拒んで在留を求める非正規滞在外国人の収容が長期化している。出入国在留管理庁によると、20年6月末現在、収容者527人のうち232人が半年以上収容されており、3年以上も47人に上る。
仮放免が許されても、先の見えない境遇は続く。スリランカ出身の男性(61)は仮放免の生活を約10年間続ける。政治的迫害を恐れ、妻子を残して08年に来日したが、不法入国で摘発された。難民認定申請は却下された。仮放免中は就労が許されないが、知人を頼って建設現場の日雇い仕事などをしたこともある。だが、最近はコロナ禍で仕事がなく、家賃を滞納して退去を迫られている。「国に帰れず、仕事もできず、難民とも認められない。どうしたらいいのか」と嘆く。
入管庁幹部は、法改正の狙いを…
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