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毎日新聞の海外支局長が交代で国際情勢を読み解きます。

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きれいな環境、犠牲の上に=宮川裕章・欧州総局長

欧州最大のレアアース鉱床発見を発表するスウェーデンの鉱業会社LKABのモストロム最高経営責任者(左)とブッシュ・エネルギー相=スウェーデン・キルナで1月、ロイター
欧州最大のレアアース鉱床発見を発表するスウェーデンの鉱業会社LKABのモストロム最高経営責任者(左)とブッシュ・エネルギー相=スウェーデン・キルナで1月、ロイター

 <Sunday Column>

 欧州連合(EU)は2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を立てている。だが、その達成のために必要な過程が、それほどきれいなものではないことを、欧州各国の市民は実感し始めている。

 リチウム、コバルトなどのレアメタル(希少金属)は、電気自動車(EV)の電池などに使う。EUは地球温暖化対策の一環としてEVの普及拡大を目指しており、こうした原材料の調達が不可欠となる。EUが促進する風力発電の発電機に使う永久磁石も、レアアース(希土類)が原材料だ。

 希少金属、希土類は地球環境を良くするのに貢献する。これは、いわば、きれいな表の顔だ。地球温暖化対策が世界で進むのに合わせ、リチウムの需要は50年までに世界で57倍に増加し、永久磁石に使う希土類の需要も5・5倍に達すると予想される。

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