2008年度
自陣からの積極的な展開を促す新ルールが導入された大会は、バックスの展開力に優れた常翔啓光学園(大阪)が制し、4大会ぶり7回目の頂点に立った。2008年4月に啓光学園から校名を変更。新たな船出を最高の形で飾った。
自陣からの積極的な展開を促す新ルール
08年8月から試験的に導入された新ルールでは、自陣22メートル内に戻したボールを蹴ってダイレクトにタッチラインを割っても、地域を獲得できない。このため、パスミスのリスクを減らそうと、防御裏へのロングキックやハイパントが増えた。特にスクラムからSHの効果的なハイパントが目立ったが、単調にキックを蹴り合ったり、中途半端なハイパントでカウンターに遭ったりする場面も見られた。
キック戦術に的確に対応したのが常翔啓光学園だった。決勝では自陣深くに4、5人の選手を置き、自陣からでも積極的に展開を仕掛けてトライにつなげた。WTB国定、FB山下ら走力抜群の選手がいてこその戦術だった。
初めてAシードに推され、決勝に初進出した御所工・実(奈良)は視野の広いSO吉井が的確にスペースへキックを落とし、常に相手陣で戦いを進める試合巧者ぶりが際立った。ディフェンスでも身長170センチ前後の選手が多かったが、低く鋭いタックルを浴びせ続けた。
ノーシードで4強入りの京都成章は、防御ライン最後尾に3選手を配し、キック処理が安定した。準々決勝の佐賀工戦では、キックの蹴り合いから瞬時にカウンターに転じてトライを奪う判断力も見せた。4強の東福岡は個々の強さは抜群だったが、キックを多用せず、ゴール前へボールを運ぶのに時間を要した。
決勝前に「第1回U18(18歳以下)合同チーム東西対抗戦」が行われた。部員不足による合同チームは予選を勝ち抜いても、全国大会には出場できない。少人数校の選手も花園の舞台を踏めるようにと企画された。夏に長野・菅平であった全国高校合同チーム大会の参加者から東西各25人が選抜され、初の聖地を駆け抜けた。
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