「5年間の社長在任期間を総括してほしい。特に、公的資金返済の道筋を描くことができなかったことについて説明願いたい」――。 6月17日、都内で開催された新生銀行の株主総会で、社長を退く当麻茂樹氏に対し、きわめて本質的な質問をぶつけたのは「国」だった。具体的には第2位株主の預金保険機構と第3位株主の整理回収機構。両者は連名で、新生銀行に事前質問を提出していたのだ。 そして、当麻社長はこう答えた。 「5年前、社長に就任したときの私の役割は、まず、負の遺産を整理し、次に、独自のビジネスモデルを確立して持続的な成長を可能にする、この2つだったと理解している」 実際、不良債権比率は当時の6.78%から直近は1.42%と、ほかの銀行と比べても見劣りしない水準まで下がっている。負の遺産の整理はきちんと遂行した。 独自のビジネスモデル確立は途上 道半ばに終わったのが独自のビジネスモデル確立だ。「法人向け業務