2018年3月上旬、コードレス掃除機の最新モデル「V10」を披露するために、ジェームズ・ダイソンみずからがニューヨークでプレゼンテーションの舞台に立った。家庭用掃除機といえば電源コードのつながった不格好な本体を引っ張り回さねばならないものという旧来のイメージを完全に覆したのが、このV10へと至るダイソンのコードレス掃除機だ。すらりと一直線にのびるその形状や引き金のようなスイッチがどこかライフル銃を思わせることから、カップルが1台を買っていくと、かなりの確率で、女性ではなく男性のほうが掃除係を受け持つようになるのだという。うつむいた男性が「床撃ち銃」の操作に没頭するというコミカルな構図が見られるわけだ。 お行儀のよい拍手が客席からあがるなか壇上に現れたジェームズ・ダイソンは、挨拶を早々に切り上げると、V10の説明に取りかかった。300台の組立ロボットが製造を担うので人間の手は必要とされず、回