昨今、学術論文の評価が学会誌ではなく、『ネイチャー』など商業誌の掲載によって決まる点が、問題の核心にある。こうした商業誌は、学者だけでなく一般人も読者に想定しており、インパクトのあるテーマや鮮明な画像を要求されることが多いという。また、バイオや電子工学などでは特許申請の関係から秘密主義になりがちで、若いうちに科学的な議論の訓練を受けられない例も増えている。 論文掲載に躍起になる背景には、研究資金の配分という問題もある。科学技術が国家戦略として取り上げられたのは、1996年の「科学技術基本計画」が最初だ。5年ごとに見直されて現在は第4次の途上にある。 この間、大学や公的研究機関の独立行政法人化があり、研究の自由度が上がった反面、研究者から「総予算が縮減される中、特定の研究に資金が重点投下される一方、研究者の自由な研究への資金配分が減少している」との声も複数聞かれる。シニアの研究室主宰者は、自