この数カ月、菅義偉首相が最も避けようとしてきた五輪シナリオで着地せざるを得なかった。8日、決定した「緊急事態宣言下の無観客開催」。開幕の約2週間前まで有観客開催への執念を見せたものの、結果として新型コロナウイルスのリバウンド(感染再拡大)封じ込めに失敗し、万事休す。「コロナに打ち勝った証しの東京大会」を掲げ続けてきた首相は、窮地に立たされた。 【図解】自民党「実力者」の相関図 「緊急事態宣言の下で、異例の開催となった。新型コロナという大きな困難に直面する今だからこそ世界が一つになれること、そして全人類の努力と英知によって難局を乗り越えていけることを東京から発信をしたい」。午後7時からテレビ中継された記者会見で、首相は東京五輪についてこう述べ、開催意義を重ねて強調した。 政府分科会の尾身茂会長ら専門家が「無観客が望ましい」と提言する中、最後まで有観客開催の道を探った首相。感染力が強いインド由